悲しいお正月!!
2009年 02月 10日
なぜこうなったのか、私もわかりませんが、
実は私の故郷では、昔はチベット暦のお正月ではなく、
ずっと春節(中国の旧正月)を過ごしてきました。
ちょうど20年ぐらい前でしょうか、
「アバチベット族自治州」が「アバチベット族チャン族自治州」になり、
その上、商売をする人が故郷とラサを行き来するようになりました。
その頃から故郷の人々は、まずは春節、それからチベットのロサル、
そしてチャン族のお正月と、年に実は三つのお正月を祝ってきました。
私が日本に来て、全く同じ習慣だとびっくりしたことがあります。
それは喪に服するということです。
日本では、もし前年に不幸があった場合、
次の年のお正月はお祝いしませんね。
チベットも全く同じです。
昨年はデモもあり、大地震もあり、チベット人はもちろん
漢民族も、たくさんの犠牲者を出しました。
こういった場合、お正月を祝うことはできません。
祝う気持ちにもなれないはずです。
私自身、昨年の3月からステージの衣装も出来るだけ
自粛するようにしてきました。
祖母をなくしたこともあり、
今年のお正月は一切お祝いごとをしませんでした。
1月5日からお仕事をはじめましたが、
ステージでも新年のお祝いの挨拶は控えさせていただきました。
世界中にいるチベット人はもちろんですが、
8万人以上もの犠牲者が出た四川大地震の周辺地域の人々も
今回のお正月をお祝いしないのは当たり前だと
私は思っています。
しかし、大変驚いたのは、
私の故郷では、今年お正月休みがなかったということです。
その理由というのが、なんと大晦日も春節の期間も、
ずっと職場に宿直するよう命じられたからなのだそうです。
職場が襲われないようにするためだそうですが、
少々やりすぎなような気がします。
これ以上に矛盾しているのが、
その職場でお正月を祝いなさいと命じられたことです。
「去年はいろいろとあったけれど、普通のチベット人は
盛大にお正月を祝っているぞ」というアピールでも
したかったのでしょうか。
各職場では必ず1000元以上の爆竹を買わなければならず、
そして、それを鳴らして、お正月をお祝いしなければならない
のです。
私の兄弟のほとんどが公務員ですので、
みな服従しなければなりません。
私まで深い悲しみに襲われました。
お祝いごとは人それぞれが自分の意思でするべきであり、
だれかに言われてするものではないと強く思います。